【2019年度第1回例会レポート】
システムテスト自動化ワークショップ(講師:千葉工業大学 小笠原秀人さん)
QuaSTomの2019年度最初の例会では「システムテスト自動化」というテーマで講演およびグループ討議が行われました。
講演では、まず講師が取り組んだテスト自動化事例が紹介されました。テスト自動化を阻害する要因として、導入・維持コストがかかり効果が出ない、テスト仕様に抜け漏れがあり効率的・効果的にテストが作れないという問題があります。
それに対し、
①専門家による導入支援
②導入・維持コスト削減のために既にあるテストセンターリソースの活用
③再利用でき保守しやすいテストスクリプトの開発
④テスト設計品質向上のためのテストプロセス診断・改善技術の利用
⑤テスト仕様からテストスクリプトの自動生成を行う等
を、取り組んだ結果、自動化による効率化を実現したとのことです。
また、システムテスト自動化は、
a)目的の明確化
b)自動化対象の見極め
c)体制・ツールの決定
d)自動テスト設計
e)自動テスト実装・実施
というプロセスで行ったとのことです。
システムテスト自動化の利点・欠点は次のようなものとのことです。
■利点
人手を必要とせず高速に実行できる/同じテストを繰り返し実行できる/正確にテストができる/負荷テストなど人手では難しいテストができる
■欠点
初期コスト・メンテナンスコストがかかる/自動テスト検査外項目を手動テストで見つけられることがある/テスト項目の不具合にテストツールが気づけない/ソフトウェアの変更が自動テスト開発工数に影響を与える
続いてグループ討議が行われ、自動化のポイントについて議論しました。グループ討議後の発表では、自動化をきっかけとして本来やるべきことを実施することによりテストも楽になり品質も上がる、正常系が自動化できるので異常系に注力できる、自動化でルーチンワークが減り楽になる、繰り返し行うテスト項目は資産化できるという前向きなコメントが出されました。逆に仕様が最後まで固まらない場合は自動化できない、工数やコストがペイするように自動化の範囲を絞らないといけないことに気づいたという意見も出されました。
今回は以前から高品質ソフトウェア技術として取り上げられていた「テスト自動化」を扱いましたが、参加者は改めて大事なことに気づかされたようで有意義な時間を過ごせたとのことです。今後ともQuaSTomにご期待ください。