今回は、QuaSTomの「プレゼンテーションスキルアップ分科会」の検討結果をもとに、報告文書の内容や話した内容が他人に正しく伝わらない要因について考えました。
まず、正しく伝わらない要因について分科会の検討結果を共有しました。そもそも表現する上では次の4点が重要であるとのことです。

◆目的の明確度:
聞き手や読み手に何かをしてもらうために情報を伝えているのだから、目的の明確度は大事。

◆情報の共有度:
情報の送り手と受け手が双方とも持っている共有情報を意識して伝えることが大事。

◆表現する言語技術:
説明する順序、一文一義で簡潔に整理したか、5W1Hを明示したか、事実と意見を分けているかという点に気をつける。

◆伝える覚悟と自信:
「送り手が伝えるべきことを伝えきる覚悟」と「そのための努力に裏打ちされた自分を信じる気持ち」を持つことが大事。

これらを共有した後、ソフトウェア開発プロジェクトで起こりがちな具体的な事例(おそらく相手に伝わりにくいだろうと思われる会話、状況報告メール、日報の例)をもとに、グループ討議で上記4点をもとに「どの部分が伝わりにくい表現か」「伝わるようにするためにはどうすれば良いか」について検討しました。具体的な問題指摘と改善に向けたポイントの例をいくつか挙げます。

■進捗状況の例に「ざっとこんな感じです」という表現があった。「こんな」では“明確でなく”わからないので、具体的にする必要がある。

■これから取り組むプロジェクトの内容説明の例で「全体的にこの前の案件と同じような感じ」という表現があった。「この前の案件」が聞き手と“共有できているか”がわかった上で表現する必要がある。また、「同じような感じ」という表現は“意見であって事実ではない”。事実を客観的に話す必要がある。

今回は、ソフトウェア開発プロジェクトの中で、ユーザやプロジェクト内のメンバーとのやり取りで起こりがちな「伝わらない問題」を取り上げました。正しく伝えられずに目的とは異なるソフトウェアを開発してしまい、その結果プロジェクトが泥沼化してしまいます。このようなこと避けるためにも、私たちは正しく伝える努力をしなければならないと強く認識できた例会でした。